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放射線の強さ [放射能被ばく対策]

各種類における放射線の強さ
 放射線が物質中に吸収された量を表す単位をGy(グレイ)といいます。このグレイが大きければ、それだけ物質(人体)に放射線が吸収された事になります。
 しかし上に書いたように、放射線にはα線、β線などの種類があります。これらの種類によって、人体への影響は異なるのです。この、どれだけ異なるのかを表した数字を放射線荷重係数と呼びます。
 各放射線別の荷重係数の数字は、次の通りです。

 α線 : 20
 β線 : 1
 γ線 : 1
 中性子線 : 5~20(エネルギーによって異なる)

 荷重係数とGyを乗じた数字がSv(シーベルト)になり、これが人体への影響度を表しています(この単位については「放射能と単位」を参照)。
 この数字を見てみると、同じ被爆をするのなら、α線の方がβ線などよりも20倍も危険であるといえます(しかしα線は紙一枚で防げますし、空気中を数cmしか進めませんが)。

・臓器への影響
 更に同じ被爆をしても、体の部位によって影響力は違ってきます。放射線被害が出易い場所と、出難い場所があるわけですね。受けた放射線を1.00と考えると、被爆の影響度は、次のようになります。

 生殖器 : 0.2
 骨髄、結腸、肺、胃 : 0.12
 膀胱、乳房、肝臓、食道、甲状腺 : 0.05
 皮膚、骨表面 : 0.01
 その他 : 0.05

 これらを考えた上で被爆量を出した数字を実効線量といい、放射能被爆に対する制限量などに利用されます。

・被爆をした場合
 人は、普通の生活をしていても放射線を浴びています。また医療機関に行けば、レントゲンやCTスキャンなどで放射線を受ける事でしょう。
 しかし、一度や二度レントゲンを受けたからといって、放射能による傷害が発生するわけではありません。原発の事故などで受ける放射能は、桁違いなのです。

 もし大量の放射線を浴びたら、どうなるのでしょうか?
 放射線の被害の原因は、放射線によって直接、或いは間接的に体を構成している「分子」に影響を与える事になります。例えば分子の中に飛び込んで、違う分子に変化したり、電子を弾き飛ばして「電離作用」を引き起こしたりするのです。
 これらの分子変化によって、体を形作っている細胞の設計図であるDNAが傷付けられます。DNAには自己修復作用があるのですが、修復が不完全なままになる場合もあります。そして間違ったDNA情報で、間違った細胞(いわゆる癌細胞)が作られるのです。
 癌細胞は、少々でしたら健康な人でも発生します。その場合は体の防衛機構として、発生しても癌細胞を破壊する事で自衛しています。ですが大量に発生すると防衛機構が間に合わなくなり、癌に罹るのです。

 では、実際にはどのような症状が出るのでしょうか?
 まず早期障害と晩発障害に分類してみます。放射線を浴びたからといって、直ぐに発生する症状だけではないのですね。
 早期障害としては、急性放射線障害や放射線皮膚炎などがあります。急性放射線障害とは、潰瘍、嘔吐、白血球の減少などで、あまりに大量に浴びると死に至る事もあります。
 晩発障害には癌などや、皮膚、毛髪への障害、造血機能障害、免疫力の低下などがあります。また新しい細胞が作られない(壊死)などの症状も現れます。
 臓器への影響でも説明したように特に生殖器に障害が現れ、また胎児がいた場合は流産、奇形、身体への障害などの深刻なダメージを受けます。場合によっては、遺伝病を発症してしまいます。

 これらの細胞への影響の他にも、体の水分に影響を与え、活性酸素を生み出す事によって身体に不利益を与えたりします。

・体に良い放射能?
 このように大量に浴びれば危険な放射能も、少量だと逆に生体に刺激を与えて有益ではないか、という考え方もあります。
 これをホルミシス効果と呼びます。しかし、実際のところ、人体への影響がどれ程あるのか、わかっていません。動物実験では確認されつつあるのですが、余りに少量であるため他の生活習慣(タバコやお酒等)からの影響と区別がつかないからです。
 また、ラジウム温泉なども、身体に良い放射線という事になっていますね。これも、効果があるかどうか…。影響を与える程、放射能が強くないのです。まあ、普通の温泉程度と考えておいた方が良さそうです。

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